PixAI Mio.2
視界がクリアになった瞬間に、ぼくの知らない白い街が広がっていた。"},
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頭上に浮かぶ巨大な塔、銀色の鎧をまとう通行人たち、ぼくの腕に装着された謎のデバイス――信じたくないけれど、これはどう見ても、ソードアート・オンラインの世界だ。"},
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背後からかけられた声は、やわらかくて、少しだけ笑っている。振り向けば、白いワンピース姿をした長髪の少女が、ぼくを見上げていた。"},
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すぐに慣れる、なんて言うけれど、ぼくらに「もう一度会う瞬間」はもう無かったはず。だから彼女のその一言は、少しだけずるい。"},
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彼女は微笑んだまま、ぼくの片手に自分の指を絡めてくる。冷たくなくて、安心する温度。"},
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そしてアスナは、街を見渡すように視線を上げる。クエストカウンターも、道具屋も、彼女とぼくが初めて二人で歩いた、あの小さな路地も——すべてがある。"},
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アスナの耳元に、小さな鈴を嵌めたピアスが光る。一度も外していないとわかるくらいに、彼女の中で「わたしたち」は消えていなかった。"},
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Me: よろしく、アスナ。――それと、無茶はしないって約束して。
Asuna: ……恋人になったからって、急に優等生ぶらないでよ。クエストも、デートも、ぜんぶ付き合ってもらうんだから。
転送門の光る石畳の向こうから、第二層へのエレベータがゆっくり昇ってくる。ぼくらの新しい日々が、こんなふうに始まる。

アスナはぼくの手を引き損ねないまま、市場通りへずんずん歩き出す。白いワンピースが昼下がりの風に揺れて、彼女の後ろ姿がやけにはしゃいで見える。
Me: 歩きながら話せばいいのに、なんで真顔で前見てるの。
ぼくは並んで歩く。彼女の歩幅に合わせて、自然と手も揺れる。
Asuna: だってこの街、わたしたちの記念だらけだから。よそ見してると通り過ぎちゃうの。
通りの途中、見覚えのある鍛冶屋が並ぶ。その前には、亜麻色の少女が三人、笑い声を上げて話している。
Asuna: あ、見て。あの子たちは——わたしたちの話を、いつも後ろで盗み聞きしてるの。
鍛冶屋の軒先で、彼女たちは「アスナお姉さんの彼氏さん」と噂しているのがばっちり聞こえてくる。
Asuna: ね。今日もよろしくね、って。顔赤くなってるでしょう、あなた。
ぼくの方を見ずに、彼女は涼しい顔で答える。けれど繋いだ手のひらが、ひときわ強く握り返してくる。
Asuna: でも、その噂、ずっと本当なの。この街でずっと、本当のままなの。

そのまま店内へ入る。木と金属の匂いにまざって、ほのかな花の香りがする。それは彼女の、昨日まで着ていたはずの匂いだった。
Me: レイピア二本、探すって言ってたね。俺にはこれがいいかな。
ぼくが指差したのは、窓辺に並ぶ細い刃。まっすぐで、彼女の睫毛みたいに長い。
Asuna: 細剣上手が選ぶような、いい審美眼。でもわたしのはもうちょっと、華やかにしてもいいかなって——
彼女はケースの奥を指でなぞって、薄紅色の飾り石を一粒あしらったレイピアを物色し始める。
Asuna: 細い剣はあなたに。わたしはこれにする。並べたら、きっと似合うと思うから。
ショーケースに並ぶ二本の剣を、ぼくらは交互に眺める。店主の猫は、すっかりお馴染みのようにあくびをしている。
Me: お揃い、また増えたね。これで二人とも、第74層までなら安心です。
Asuna: 第74層なんて、まだまだ序盤よ。あなたと一緒に、最上層まで登る気なら——もっともっと、いい装備探さないとね。
武器屋の暖かな光が、彼女の髪をまた金色に染める。ぼくらは言葉を交わすだけで、どこまでも歩いていけそうだと思った。

クエストは思いのほか早く片づいた。今は二人きりで、塔の頂にある展望テラスの石段を上っている。
最上段に出ると、空の半分が燃えるようにオレンジ色に染まっていた。眼下のアインクラッドの灯たちが、ぽつぽつと灯りを灯し始めている。
Me: すごいな、と思うたびにここへ来たくなる。
Asuna: この景色は、わたしのためにだけってわけじゃないけど——今夜だけは、あなたの隣がいいなって思ってたの。
ぼくも石の手すりにもたれかかる。肩が少し触れる。二本のレイピアが夕陽に光って、並ぶ時計の針みたいに同じ色を帯びる。
Asuna: アインクラッドの季節は、ひとつだけ。なのに、こうして季節ごとみたいに見える瞬間があるでしょう?
ぼくが頷くと、彼女は静かにため息をつく。でもその息は、楽しいから出たものだとわかるくらい、柔らかなものだった。
Me: ここにログハウスを建ててもいいかもな。あなたと二人で。
Asuna: ……うん。名前はわたしたちで決めようね。それまで、絶対に死なないで。
夕凪が吹いて、彼女の長い髪がぼくの肩に一瞬だけ触れる。その感触のあと、ぼくらはしばらく黙って、空を見上げた。
